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アダルトチルドレンの癒しとは

       

誰でも家族の中でコミュニケーションを学ぶ

人は誰でも、自分の育った家族のなかで、人間関係というものを学んで育ちます、自分の気持ちをどう人に伝えるか、人間関係の葛藤をどう処理するか、そして自分をどんなふうに守ったり、どんなふうに大事にしながら生きていけばよいかを、多くの場合親から学びます。

しかし、安全な場所として機能しない、機能不全な家族のなかで育つと、人は、他者や自分との関係の持ち方について、間違った考え方を学んでしまいます。こうした機能不全な家族で育った人々のことをアダルト・チルドレンといいます。

アダルト・チルドレンは、身体的、性的、精神的な虐待があるなど、安全な場所として機能しない家族のなかで育ったため、心が傷ついたり、自分の行動、思考、感情や人間関係に支障をきたしたり、いきづらさを感じたり、大人になってもその影響を受けている場合があります。

また、自分では、なんの問題もないと思い込んでいる人でも、はたから見ると、いろいろな障害や問題をかかえていたり、その人のまわりで、各種の問題が起 こっていることがあるものです。虐待を受けて育った人たちが、大人になって虐待する側になるなど、不健全な行動や言動の世代間の連鎖はよく知られるように なっています。古い心の傷が現在の自分をコントロールしてしまったり、小さいときに家族から習った不健全な行動が、ふるまいとして身についてしまっている のです。

「ああいう親には、絶対になりたくない」と思って育ったのに、ほかに健全な行動、言動、人間関係の持ち方を知らず、大人になったとき、同じ不健全な態度を自分の子どもに対してもとってしまったりするわけです。

自分に向き合うことの意味

自分が育った家族のなかで習った、不健全な考え方、行動、コミュニケーションの仕方をはっきり認識し、意識的に直していかないと、その不全さが自分をみじめにするばかりでなく、まわりの人や、次の世代の人たちにも害を与えてしまうことになります。

社会のなかの不均衡な力のバランスが家族のなかに反映され、その家族の秘密を保つことによって、ますます弱い者を傷つけてしまう家庭を恒久化してしまうのです。

とすれば、事実起こっていることを事実として認識し、自分の心の傷の癒しをして、世代間の伝承を断ち切り、健全な思考、行動、感情を培うことが、どれほど大切であるかがわかるでしょう。

自分を癒すということは、自分の心の傷と出会い、自分の心の痛みを取り除き、自分を受け入れ。安らぎを得るということだけでなく、自分のよりどころとなる安全な場所を現実につくり、人間として成長し、健全な人間関係をつくっていくということです。

そうすることによって、自分の本当の人生を取り戻し、子どもたちを傷から守っていくことができるようになります。ひいては、社会全体の力のバランスの構造を変えていくきっかけともなります。

自分について学ぶために

まず、あなたの家庭に何が起こっていたのか、家族の影響がどのように生き方や行動に影響を与えるのかを理解します。あなたの育った家族は、機能不全家族であったかどうか、もしそうならどんな機能不全があったのかチェックします。

そして、実際にいまの自分の状態をチェックし、家族の問題がどのように自分に影響を与えているのかを知ります。じぶんはアダルト・チルドレンの一人である ということを認識することが癒しの第一歩です。そして、自分の性格や行動の問題点の棚卸をしてみます。さらに、実際にどんなトラウマ(心の傷)を受けた のかを明らかにします。

自分の問題がはっきりしてきたら、次は自分を癒す過程です、ここでは、自分の心の傷をいろいろな方法で表現し、グリーフ・ワーク(嘆きの仕事)として、自分の過去を嘆くワークをします。

実際の家族に言えなかったこと、やれなかったこと、家族にいってほしかったことを表現し、インナーチャイルドを育てるワークをします。そして、トラウマを引き起こした出来事が、自分のせいではなかったことを認め、自分を受け入れ、トラウマがあったことを許します。

自分を癒す過程がすんだら、つぎの段階として、新しい自分、新しい人間関係をつくりあげる作業を行います。

この段階では、自己を肯定することや、新しい自分、新しい人間関係をつくりあげる作業を行います。最後にはつらかったネガティブな体験に、肯定的な意味を みつけ、自分に起こったトラウマから何かを学び、ただ日々を生き抜くということだけではない、人生の大きな意義を見直す作業を行います。

そして、実際に学んだことを実行し、自分の行動、言動、人間関係をかえていきます。さらに、癒しの先を行く仲間として、困っている人たちの手助けをし、健全なコミュニティ、社会をつくることを考えていきます。

癒しの目的は、過去を掘り返して、うらみつらみをまし、家族を責めることではありません。事実あったことを事実として認め、その影響を認識し、古い傷を癒し、経験からまなぶべきことを学び、よりよい人間になるよう努力し、よりよい人間関係やコミュニティをつくっていくことに意義があるのです。

自分にエンパワーメント(健全な力づけ)を与え、力がついたら、その力を乱用することなく、常に責任を持つことです。

「アダルトチルドレン癒しのワークブック~本当の自分をとりもどす16の方法~」
西尾和美著より抜粋